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周りと比べて、我が子の運動神経が鈍い、、、大丈夫?

Q:4歳の子供ですが、公園でお友達と遊んでいても、他の子供達と比べると動きが少し鈍く、かけっこをしても一人だけ遅れてしまいます。何か、運動機能に障害があるのでしょうか?

A:運動機能の発達が遅れているようだと心配して小児科を訪れるお母さんはたくさんいます。
運動機能の発達は、お父さんやお母さんが子供の行動を見ていれば、比較的わかりやすいものです。


子供の運動機能には個人差があります。
ご質問のお子さんなら、かけっこで他の子供よりどの程度遅れるかそうでないかが問題です。
幼児期や学童期は年を追うごとに、体の大きさも機能的に目に見えて発達してきます。


そのため、年上の子どもと比較したのでは、差がでるのが当然ですし、年下の子にかけっこで勝ったからといって安心してもいけません。比較の対象とするなら同年代の子供です。


結局、運動機能には、大きな個人差がでるのがポイント!

運動機能の発達の遅れがわかるきっかけは、やはり走るのが遅いということが最も多く、早いと2歳くらいにわかります。
普通は1歳前後で歩き出し、2歳位から小走りができるようになります。


その時は走らなくてもあまり気になりませんが、幼稚園の入園を控えた3〜4歳位になると、深刻な問題として、常に一番最後であったとしても、直前を走っている子供にある程度くっついて最後なのか、公園の一周分くらい遅れたり、直線でも他の子供がゴールしているのにまだ半分くらいしか走れていないのとでは全く違います。ほとんどがさがなくてビリだとしたら、それほど心配しなくてもいいでしょう。


もともとの運動機能には個人差がありますから、日ごろ運動しているかどうか、外遊びをするチャンスが有るかどうかも、運動機能の発達に関係します。
肥満の傾向にあるお子さんはやはり走るのが遅いでしょう。この場合には肥満を解消するというs根本的な解決が必要です。


運動機能には先天的な要素もあります。
お父さんやお母さんが運動が苦手なら、お子さんに遺伝することも当然あります。
潜在的な運動能力は、学校に通い始め、体育の時間に走るのが早いこと遅い子の差がでることでもわかります。おとなになって、器用にすべてのスポーツをこなせる人とそうでない人がいるということでもわかります。

運動音痴は病気が隠れているばあいもあります。

ところが、もし、グループからかけ離れて遅いようなら、筋肉の力が弱いか、関節が柔らかすぎるか、あるいは運動機能の点で問題があると考えられます。筋肉の力が弱いというのは、単純に筋肉を鍛えれば強くなるというものではなく、筋肉の病気であるという意味です。


関節の柔らかさは、床に座って足を投げ出し、膝の裏を床につけた時、足首は90度、指の先が天を指すくらいが一般的です。
ところが柔らかい場合、他の人が足の裏に手を当てて押すと、指先がすねにくっついてしまうほど、足首が曲がります。


この状態では走るときに関節が足首を支えきれず、走るのが遅いどころか、走るづらくて仕方がありません。
関節は大人になるに従って固くなっていきますが、中には一生、体質として付き合っていかなければならない人もいます。
自然経過に任せるしかありませんが、ブーツや足首を支えるような形の靴を履くなど、日常生活の工夫が必要です。


また、動きが遅いという点で、「小さい時からなんとなく動きが遅い」という場合と、「去年まではそんなこと全く無かったのに、今年から遅くなった】という場合では意味が違ってきます。
今年から遅くなったという場合には、なにか病気が起こり始めたということが考えられます。
考えられる病気としては非常にまれですが「多発性筋炎たはつせいきんえん」や「筋ジストロフィー」、「重症筋無力症じゅうしょうきんむりょくしょう」などがあります。


これらは筋肉の病気です。多発性筋炎は、徐々にその症状が出てくるものです。
筋肉の炎症によって筋肉が痛かったり走るのが遅くなったり、また階段が上がりづらくなったりなどの症状が現れます。


これは治療によって治りますが、とにかく早期の治療が必要です。
お子さんが前述のような症状を訴えたら、大学病院などの小児神経科で専門家の診察を受けてください。


筋ジストロフィーの場合は徐々に症状が進行します。通常は1歳2ヶ月くらいまでには歩き始めますが、その時期が来てもなかなか歩けなかったり、歩けたとしても転びやすかったりします。
また、小さい時は気づかず、成長してくると、たくさん動いたり歩いた後に足の痛みを訴えたり、熱を出した時に痛みを訴えたりし始めます。
残念ながら筋ジストロフィー症は遺伝子の異変による病気のため、完治することはありませんが、早期発見と早期治療によって状態を少し良くすることができます。


重症筋無力症は、あるときまでは全く正常だったのが、突然症状を引き起こすものです。
最初はまぶたが下がってくる、斜視になるというような症状があります。
テレビを見ている時に顎を上にあげてみたり、首を傾けてみたりしているときは要注意です。


このような眼の症状が出ないで、体の症状が先に出る場合もあります。
子供が家でゴロゴロしてばかりいるとか、外で遊ばなくなったりしたら要注意です。


重症筋無力症は、幼児期なら0〜5歳位の発症が多く、薬の投与によって、6〜7歳位には治ります。
これもやはり、小児神経科の専門医の診察と治療が必要です。

突然、フラフラ〜と子供が歩くようになったら危険!!

この他、脳や小脳の病気によって、ある時から運動ができなくなるという場合もあります。
例えば小脳に脳腫瘍があった場合には、今までは普通にあるいていたのに、ある時から両足の幅を少し広げ、大人が酒によったようにふらふらと歩くようになります。


子供の脳腫瘍は小脳に起こることが多く、小脳に障害が起こるとバランスが悪くなるため、バランスをとるように足の幅を広げて歩くわけです。
まれにビタミンEが不足し、脚気と同じような状態になり、運動機能が低下するということもあります。


また「末梢神経炎まっしょうしんけいえん」も運動機能に支障をきたします。
原因としては「ギランバレー症候群」のように、免疫異常、つまり自分の体に対する抗体を作ってしまい、自分の神経をやっつけてしまうことがあります。


また、予防接種や慢性下痢が続いた時に起こることがあります。ビタミンB群の不足、いわゆる脚気のこともあります。
いずれにしても、病気なのか、運動機能が多少遅れているだけなのか、その見極めが大切です。


いつもそばにいるお母さんが見極めるには、他の子どもとの差が顕著であるかどうか、またある時を境に運動機能が低下し始めたのかどうか、という2つがポイントになります。疑わしい場合は、早期発見と早期治療が大切ですから、早めに小児科を訪れましょう。

ある日突然お子さんが歩けなくなったらこの病気の疑いがあります!

突然、子供がふらふらして歩けなくなったら、まず「急性小脳失調症きゅうせいしょうのうしっちょうしょう」を疑います。
多くは1〜5歳の乳幼児に起こり、今までは健康であった小児が昼寝から覚めると、あるいは朝、目が覚めると突然立てなくなっている、あるいはふらついて歩けないことに気づきます。


しかし、これは一般に、比較的経過の良い症候群です。
風邪など感染症にかかった場合に三週間以内に起こることが多く、男児も女児も同様に掛かる可能性があります。


症状の程度は様々です。
歩行時にややふらつく程度のものから立っていることが不可能なものまであります。


また、この病気にかかったお子さんの3分の1には、手が震えたり、体が柔らかかったり、目が揺れたり、言葉が話しづらくなるなどの症状が見られます。
頭痛や嘔吐を伴うこともありますが、発熱や痙攣、意識障害は一般に認められません。


何らかの感染症にかかった後に起こることが多いとおもいますが、「水疱瘡みずぼうそう」「ポリオウイルス1型」「インフルエンザA/B」「エコーウイルス9型」「コクサッキーウイルスB型」「A型肝炎」等の合併症、「水痘」の予防接種後の例が報告されています。


また、神経芽細胞腫アメリカが隠されていることや、多発性硬化症の初発症状というケースも有りますので、よく調べる必要があります。多くの場合は、ほとんど良くなりますので安心してください。経過は急速かつ良好で、継承では2週間以内に70%、6ヶ月以内に大部分が治癒します。ステロイドホルモンが効果的なことが多いようです。


約30%に何らかの後遺症を認めたという報告もありますので、症状が見られたら、早く小児神経科を専門とする医師に診てもらうことが重要です。検査では髄液を取って調べますが、この病気にかかっている場合には、細胞や蛋白の増加が認められました。


またMRIという画像検査をすると、小脳の腫脹、一時的に認められる小脳皮質・白質や脳幹の高信号域という異常所見が認められる事があります。