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子供の高脂血症 概要


高脂血症というのは血液中の脂肪分が非常に高い状態を言います。
これといった症状がないために、家庭内ではなかなか見つかりにくく、別件で血液検査をした時などに見つかることも多いものです。


コレステロールとはよく聞きますが、血液中の脂肪の一種で、本来はホルモンや細胞を作る原料となる大切ない栄養分なのです。
ところが近年、日本人の食生活の変化により、コレステロール値が高まってきたという傾向が見られるようになりました。


血液中のコレステロール値が高くなると、これまで血液中を流れていたコレステロールが動脈の壁に付着するようになります。
すると、動脈の壁が厚くなったり固くなったりしますが、これを動脈硬化といいます。


この状態では血管の中が狭くなってしまい、血液の流れも滞り、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしやすくなります。
高脂血症はこのコレステロール値と動脈硬化指数によって見極めることができます。


コレステロール(C)で見るなら、血清総コレステロール(TC)が200mmHg/dl以上(大人で220〜250mmHg/dl以上)だと「高コレステロール血症」といいます。


また、最近話題に上がっているHDLコレステロール(善玉コレステロール)というのがありますが、これは逆に低いと動脈硬化の危険が高くなり、40mmHg/dl以下が治療の対象となります。両者を合わせて動脈硬化指数(AI)を割り出します。

子供の高脂血症 原因

原因として、大きく3点があげられます。

ひとつには肥満。
これが原因の場合には、肥満が軽減されれば高脂血症や動脈硬化の心配も少なくなるため、とにかく肥満を解消するように、毎日バランスの取れた食生活と運動を心がける必要があります。


そして、ふたつ目は肥満を伴わない食事因子によるものです。
この場合には食事療法と運動療法が基本になります。
食事療法は、いわゆる中高年向きの政治病予防の食事と同様ですが、異なる点は成長期であるために、必要なエネルギー量は摂取するということです。


以上、2つの原因は、ある意味では脂肪分の摂取量が多いことが原因ともいえますが、3つめの原因として、脂肪分が体内で多く合成されることや脂肪分が体内で分解されにくいなどというばあいにも起こり、これらをまとめて「家族性高脂血症」といいます。家族性のばあい、他の病気の検査などで偶然見つかることがほとんどです。


総コレステロールが250mmHg/dl以上あると、必然的にご両親やご家族の中に心筋梗塞や脳卒中の人がいないかどうかを聞かれますので、もし、お子さんが高脂血症だと言われたら、該当する人がいる場合には事前に医師に伝えてみてもいいでしょう。


家族性高脂血症の場合には、通常の食事療法や運動療法ではなく、薬物による治療の両方が必要になります。

子供の高脂血症 治療


肥満や食事因子が原因の場合には、食事療法と運動療法が中心になります。


高脂血症における食事療法のポイント

肥満や糖尿病と同様の食事両方に加え、高脂血症の食事療法では、次のようなことに注意しましょう。


暦年齢相当のカロリー摂取を行うこと

これは多すぎても少なすぎてもいけません。通常必要とされている分だけを摂取することが大切です。

脂肪は25%前後

脂肪全体では、25%前後が適当ですが、牛、豚、鶏肉、牛乳などの飽和脂肪酸はできるだけ抑え、植物油や青背の魚に多く含まれる不飽和脂肪酸が摂取脂肪分の半分以上を占めるような割合で摂取しましょう。


コレステロールは500mg前後

たまごや魚介類の一部はコレステロールをおおく含むため控えめに。

食物繊維はたくさんとろう

野菜に含まれる食物繊維はコレステロール値を低下させる働きがあるため、十分摂取するようにしましょう。

高脂血症の食事療法に適切な食品


  • 食物繊維の多いもの・・・人参、ピーマン、玉ねぎ、大根、きのこ類など。
  • 不飽和脂肪酸の多いもの・・・青背の魚、マーガリン、植物油、わかめなど

高脂血症の食事療法に適切でない食品

  • コレステロールの多いもの・・・以下、いくら、卵など。
  • 飽和脂肪酸の多いもの・・・肉類、ベーコン、うなぎなど

運動療法

食事療法と同時に運動療法も行わなければなりません。
悪玉コレステロール値を下げ、善玉コレステロール値を上げるためには、ある程度の強度がある運動を一定時間続ける必要があります。


肥満や高血圧の運動と基本的には変わりませんが、厚生省の高脂血症児童〜生徒の生活指導指針によると、
一日あたり、女性なら縄跳び220〜300回程度、
男子ならバットの素振り50〜100回程度を
毎日続けるといった内容が記されています。

運動だけでなく、日常生活において、お母さんの手伝いをこまめにしたり、できるだけ歩くようにするなど、体を動かす生活習慣をつけることも大切です。

家庭での注意

また、ご家族に高脂血症や動脈硬化性疾患の方が多い場合には、家族性にしろ、食事因子による二次性にしろ、同じ遺伝子を持ち、同じ食生活をしているわけですから、お子さんのうちから積極的に検査を受けることをおすすめします。