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子供の自閉症 概要


アメリカの児童精神科医カナーが、生後まもなくから1〜2年にしてすでに周囲の人や母さんにさえも感情反応を示さなくなる児童を「早期幼児自閉症」と呼んだのは今から60年近くも前の1943年のことです。


日本では、1000人に一人と言われ、女の子よりも、男の子に3〜4倍多く見られます。
脳の機能の異常による状態です。その基本的な症状は、次の3つです。


  • 1,言語発達の遅れ。
  • 2,社会背/対人関係の発達の障害。つまり他人とのコミュニケーションが取れないということ。
  • 3,常同的(いつも同じことをする)あるいは執着的行動がある。

つまり、散歩や買い物に行くのに道が決まっていて、決して他の道を通ることができないとか、水や木片や紐、特殊なマーク、文字、数字、機械の部品などに取り憑かれたように強い関心を示し、一日中そればかりいじって一人遊びにふけったりすることです。


診察に訪れるのは2〜3歳のお子さんが多いのですが、実は赤ちゃんの頃から、すこし症状が出始めていることが多いのです。

赤ちゃんの頃の自閉症の症状

赤ちゃんは手がかかるものですが、こういうお子さんの赤ちゃんの頃のお話を伺ってみると、お母さんにとっては手がかからず、ラクでしたとおっしゃることが多いものです。


つまり、人に抱かれたいという様子も示さず、抱かれやすいような姿勢を取ろうとしませんし、抱き癖がつかず、いつもベッドで静かに寝ていたり、お母さんに無関心だったりあやしても反応しない、視線を合わせようとしないなど。


ご両親にとっては、お子さんが自分たちと別の世界に住んでいるように思えて戸惑います。

自閉症の症状が目立ち始める頃

1歳6ヶ月から3歳位の間に自閉と孤立の症状は目立つようになります。
この頃は、普通はお母さんに甘えようとしますが、自閉症のお子さんは甘える様子もなく、また、後追いをするということもありません。


お子さんが本をめくっている時に、お母さんが読んであげようとすると、パタンと本を閉じてその場を立ってしまうなど、お母さんとの関わりを嫌がることがあります。
おこさん
他の子供に興味を示しません。
そして、読んでも振り向こうとせずに、光の点滅や、紐をぐるぐる回して何時間も没頭して過ごしたりするなど、一人でいる時が幸せそうに見えるそうです。
おこさん
これらの執着的行動が禁止されたり他のものに変えさせられそうになると極端に嫌がり、泣き叫んだりパニックになったりします。
こういう行動は、変化を嫌がる状態とも解釈できます。


また、一歳を過ぎても指さしや意味のある言葉が認められず、欲しいものがあるときにはご両親の手をとってほしいものがあるところへ持っていく”クレーン現象”を示したり、あるいは一度「マンマ」等の意味のある言葉が出ても、1歳6ヶ月から消えてしまった、と言われるご両親も多いものです。


このような、言葉が消える時期に、次子の出産でお母さんから離されていたとか、ストレスと思える現象が重なっていることもよく見られます。
臨機応変な行動は、自閉症の子供が最も苦手とするところです。


もっとわかりやすく言うと、儀式的、脅迫的な決まりが生じ、いつも食事の前に洗面所で手を洗って、それから何か自分の決めたルートを通らないと食卓につけなかったりします。


例えば、洗面所が使えないからといって、順番を変えて先に他のことをするということができません。必ず順番通りに事が運ばないと先に、前にすすめないのです。

小学校

小学生以降になると、脳波の異常が約3割の子供に、思春期にはけいれんが約1割の子供に見られます。


自傷行為やパニック、睡眠障害などが見られたり、ひどくなると幻覚や妄想状態に陥ることもあります。

子供の自閉症 治療

根本的に自閉症を治癒させる薬物療法というものはなく、長い時間をかけって治療をしていく必要があります。
しかし、原因を検査し代謝異常などが明らかになればそれに対する処置をすることができます。約3割の子供で血液のセロトニンというのもが高いと言われています。


また脆弱X症候群ぜいじゃくエックスしょうこうぐんという染色体異常が認められることもあります。


けいれんの発作や情緒の興奮、自傷行為やこだわり行為などに対しては、適切なくすりを使用する場合もあります。
認知障害を伴っていると考えられており、子供の理解力を正しく評価して、その状態にあわせて療育することが重要です。


家庭内はもとより、医師、そして学校に通うようになったら担任の先生など、関係者のチームワークも大切です。成長に伴う問題行動パターンは、抑えつけるだけでは状態を悪化させるだけです。

子供の自閉症 生活における注意

生活面においては、ご両親からお子さんへのスキンシップを濃厚にし、必ず視線を合わせて話をするように小お頃がけることが大切です。


自閉症の子供はどちらかと言うと、言葉で説明したことを理解し難いのですが、目で見たものを理解する力はありますので、何かを説明するときにはモノで見せる、、、写真や絵を用いて説明をするといった方法が良いでしょう。


また、約束事は紙に書いて見せるようにすると守ることができるようです。
運動が苦手な子供も多いので、手を握って走るなどリズミカルに手足を動かすことも大切です。小さな子供なら、お母さんが手足の交互運動をさせてあげてください。